AI・RPA業務改善

シャペロンでありたい

先月日曜日の夜のことです。そうけんくんのお客様から「表示でミスをしてしまい取引先に報告しなければならない。先方も表示に詳しくないので専門用語を使わず、出来るだけ分かりやすい報告書を作りたい。どうすればよいか?」と緊急の連絡が、私の携帯に入りました。話を伺うとラベル貼り違えミスで、そうけんくんのシステムエラーではなかったので安堵しました、とは決してならず、一歩間違うとアレルゲン欠落事故で重大な健康被害になる可能性もあったわけです。大事故にならなかったことに胸を撫で下ろしつつ、お客様と一緒に報告書の内容を一つ一つ確認しました。

まさにAIのプロンプト。このまま生成AIに投げてもある程度の答は返ってくるでしょう。しかしまだ、専門用語、法律用語、謝罪、ビジネス報告などの面を考慮すれば、人間が答えた方が遥かに誠意ある内容となります。いまIT業界では「AIエージェント」という言葉が溢れています。「AIがあなたの仕事を代わりにやります」「AIエージェントにお任せください」という売り込みです。「エージェント=代理人」という意味からも分かるように、丸投げしてくれたら全部AIが代理でやりますよ、と言うニュアンスは、私は「あなた不在のエージェント」に聞こえかなり違和感があります。

さて、「そうけんくん」は12月3日の表示塾で新たなフェイズを迎えます。ありとあらゆる規格書をありとあらゆる規格書に変換する規格書AI変換機能、原材料やそれを組み合わせた中間原料・製品から含まれるアレルゲンを予測する機能、原材料の組み合わせから味を予測する機能、などを順次搭載していきます。予測変換は生成AIが最も得意とする分野ですので、その特性をフルに活用した機能になっています。月並みな言い方をすれば「そうけんくにAIエージェントが数名加わる」とでもなるのでしょう。しかしこれはエージェントではなく「シャペロン」であると考えてください。

分子生物学では、あるたんぱく質が機能する立体構造になるのに必要な別のたんぱく質を「シャペロンたんぱく質」と呼びます。元々は欧州の貴族女性が社交界にデビューする時に付き添ったお目付け役の女性「シャペロン」に由来します。このシャペロン無くしてはたんぱく質は機能せず、しかもシャペロン自体は、最終的にはたんぱく質から離れ、たんぱく質の機能に影響しません。つまり主体はお客様であって「そうけんくんAI」はあくまでもお客様の成長を見守る「シャペロン」の役目です。

冒頭のお客様から「私の人生であなたに出会えたことは、私の宝です」と最後におっしゃって頂きました。お世辞8割だとしても、こんな嬉しかったことはありません。常にこのようなシャペロンであり続けたいと願っています。

このコラムは、2025年11月11日にメルマガ会員様向けに掲載したものを再掲しています。法律やシステム、AI技術の状況など、当時の最新状況に基づいて執筆しているため、現在の状況とは一部異なる場合(あるいは、AIがさらに進化して過去の苦言が過去のものになっている等)がございます。当時の熱量を共にお楽しみください。(2026年10月1日)

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